「九州全県縦断マラソン」を走ってきた(3-4日目)

【5/1・3日目(合計197km)】

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3日目は菊池市までの67km。
暑くなる前に距離を稼ぎたくて、まだ暗い4時半過ぎにスタートした。
そのため3時半起き。
ご飯を食べて、擦れ防止のワセリンを身体に塗り、マメ防止のテーピングを足の指に巻き、身支度を整えるのだが、身体が軋んで動きが悪いのだ。

この日が最高にキツかった。
スタートする前は1mも走りたくなかった。
前日の夜、脚全体にボルダレンクールジェル(消炎鎮痛剤)を塗りたくって寝たが、表面の痛みが取れただけで、芯の疲れは全然取れない。
当たり前と言えば当たり前だ。

朝ご飯を食べておかないとガス欠になるので、おむすびを食べたが、水で流し込まないと嚥下することができない。
そんな体調で走るのだ。
普通じゃないことをやるから、普通じゃない気付きを得る。
人と同じことをやったのでは、同じところにしか辿り着けない。
規格外なことをやってみると、実はさらに規格外な、もっとずっと面白い人たちがたくさんいることに気付く。
でもそれは、そこまで行ってみないと永久に判らないし、その世界の人たちは、そこへ辿り着いていない者に対して、真に胸襟を開いてはくれない。
この気付きは5日目に同行してくれた、規格外すぎるスーパーランナー、ソノダさんと小野さんの姿を見て、間違いないと確信した。
具体的な話は5日目に譲ろう。

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この日は街中のコースなので、コンビニをエイド代わりに使いながら進む。
コンビニが見えてくると「まだ前のコンビニから3kmなので次だな」とか「そろそろこのコンビニで休みたいな」とか思いながら、とにかく次のコンビニまでと思いながら走り続ける。
気温は高く、僕はコンビニで氷を買ったり、冷たい場所で横になって身体を冷しながら、サワちゃんとミタニンはストレッチで脚をほぐしながら進んだ。
この日は熊本市を抜けるコースなので、同行ランナーがとても多かった。

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31kmでニシジマさんが合流。
彼女はとても前向きで明るくて、当初はこの日のゴールまでの予定が、何度もおかわりで同行してくれた。

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このチャレンジの成功の鍵となったのが、彼女たち女神(と、僕が勝手に呼ぶ)存在で、最初はサワちゃん、そしてフミヨさん、ニシジマさん、ヒロミさん、タナカさん、シギョウさん、ヒロカワさんと僕たち男3人のチャレンジを華やかに彩ってくれた(他にもたくさん!)。
男だけだと部活みたいな雰囲気になるけれど、走っている後ろで女子トークされるとメチャメチャ和む。
6日目に僕と小野さんプラス女性ランナー6人というハーレムランが出現したのだけど、二人で先頭を走りながら「背中から女子トークが聞こえるって、、、本当に幸せだね」としみじみ噛み締めた。
男ってのはそういう生物なのだ、良いとか悪いとかは別にして。

この日は当初、呼吸が苦しかった。
そのことを小野さんに言うと「あー、呼吸筋ですね。色々疲れるのは仕方がないです」とのこと。
20km手前で楽になり、その後は呼吸が苦しくなることはなかった。
身体が慣れたのだろう。

38kmくらいのコンビニで地元ランナーの方が応援エイドを出してくださっていた。
10時半過ぎだったので既に暑くなっており、氷水に浸した濡れタオルがすごく嬉しかった。
僕は保冷剤を借りて首を冷やしたほどだ。
彼女もまだ途中まで同行ランしてくれた。

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熊本市内に入ると、クサノさんという市内でいくつもの飲食店を経営する方がジョイン。
彼は、昨年僕が出場したゴビ砂漠マラソンに、今年出場する予定とのこと。
最高に楽しいからぜひ!ディレクターの石原さんにくれぐれもよろしく!と勧めておいた。
熊本市内を観光ランして、熊本城を眺め、街を抜けて菊池市へ向かう。

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この日は本当に暑くて、12時過ぎの日陰が最もない時間帯には暑さで走れなくなった。
川沿いの緑地でしばらく休んだくらいだ。
小野さんとサワちゃんは川の水で足を冷やしていたけれど、僕はテーピングが剥がれたら困るのでパスし、木陰の涼しい場所で横になった。
これがかなり効果的で、冷えた地面が背中から体温を奪ってくれ、 程よく身体がクールダウンし復活することができた。
これはいいぞ!と思ったので、この日以降は、身体を冷やすため道路脇や木陰で横になることが多かった。
道端で横になるランナーって異様な風景だったと思うけれど(笑)

菊池市に入ってからは同行ランや応援エイドがどんどん増えた。
フミヨさんが再びノンアルコールビールのエイドを出してくれたし、近くの酪農家の方が自社製品の熱中対策飲料を出してくださったりした。

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色んな人たちに支えられて、18時にゴール。
67kmを12時間で何とか走り切った。
振り返ってみると、この日が最もキツかったと思う。

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ミタニンの血尿は改善しないものの、悪化もしていないようなので一応は安心。
宿は基本的に安いビジネスホテルに泊まっていたが、この日は大部屋の旅館。
夜は雑魚寝になる。
立派な温泉があったので速攻で入って、晩ご飯はサワちゃんリクエストの「イルフォルノドーロ」に向かった。
ナポリピッツアの店だ。

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頑張っているいい店で、自家製のチーズが地元の肉や野菜をたくさん使っている。
晩ご飯では山盛りサラダと豆腐を頼むのが常だったが、ここではサラダとチーズ。
それからピッツアを7人で10枚くらい食べた。

晩ご飯を食べながら4日目のルートをGoogleストリートビューで確認していた小野さんが「シャオさん、明日ヤバいよ、ヘタすると20km以上コンビニも自販機もない」と言うではないか。
しかも一緒に晩ご飯を食べている地元ランナーが「えっ?あそこ走るの?」と絶句するような峠越え。
気温は30℃まで上がることが予想される。
山の中なので応援エイドや同行ランも期待できない。
この旅で最大の難所とも言えるコースで、さぁ面白くなってきましたよ!と元気を出してみるものの、やはり不安だった。
「小野さん、ヘルプツイートしたら誰か助けてくれないかな?」と僕が促すと「ストレートなヘルプはアレだなぁ…でもちょっと書いてみようか」ということになった。

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【5/2・4日目(合計257km)】
4時過ぎに小野さんのスマホアラームが鳴ったら、全員がすぐに起き上がった。
熟睡していないから、ちょっとした音で目覚める。
僕は気付かなかったけれど、ミタニンによると小野さんは夜中にうなされていたらしい。
僕たちが不安にならないよう、悪夢の内容はこの日のゴールまで教えてくれなかったけれど、厳しいコースで先に進めず、ゴールが夜になって、次の日に影響が出て、、、という悪いスパイラルにハマる夢だったらしい。

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朝5時の暗いうちにスタートしたが、阿蘇山の噴煙が激しく、走っているだけで目がしばしばするし、口の中がジャリジャリする。

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もしかして1日中これが続くの?と思っていたが、20kmも走れば気にならないレベルになった。
そして峠越えの手前で、前日、晩ご飯を一緒に食べた地元ランナーがジョイン。
30km地点の道の駅まで同行してくださった。

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走り始めはキツかった身体が、なぜかこれまでよりも軽くなって、30km地点で思った以上に余力があった。
どうやら身体が慣れ始めたのと、小野さんに走り方を教えてもらったのが大きかったようだ。
2日目の夜、風呂で身体を洗っている時に教えてもらったが、言われるような身体の使い方が徐々に出来るようになったのかもしれない。
7日目から同行したトロさんが「シャオさんと小野さんの走りは似てるよ。当然、小野さんの走りが上だけど」と言ってくれたのは嬉しかった。
彼はランニングショップの店主のくせにトークがヘタで、お世辞もヘタだからだ。

途中で長かった熊本県をついに抜け、大分県に入った。

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山の中のコースだったので比較的涼しいし、僕と同じようにサワちゃんもミタニンも、身体が慣れたのだろう、順調なペースだった。
それにしてもコンビニは当然として、自販機すら本当にないねと言いつつ、歩道のない道を進む。
峠道なので、厳しく攻めるライダーや喧しい暴走族、スポーツ走行でコーナーに突っ込んで来る車に注意しながらのランだった。
こんな道を走っているヤツがいるなんて誰も思わない。
そんな道なのだ。

10時半頃、潰れた商店の店先で休憩していると、遠くからコォーン…というエンジン音が聞こえて来て、おや?あの音は?と思っていると、目の前に真っ赤なフェラーリが止まった。
すると小野さんが「えっ!?コデラさん?えっ?なんで?」と絶句している。
小野さんのご友人ですか?と訊くと、昨夜のヘルプツイートを見て、我々のエイドをするためだけに神戸から来てくださったとのこと。
あのツイートがコデラさんに届いたのだ!

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フェラーリの移動エイドかよ!と大爆笑になり、もの凄い元気をもらった。
コデラさんのお陰で、最も厳しい区間で食料と水分の補給ができた。
これは本当にありがたかった。

徐々に気温が上がり始め、僕がヤバいなぁと思っていた頃、こんな道を向こうから走って来るランナーがいる。
あれ?もしかして?と思ったら、昨日も同行ランしてくれたイトウさんだった。
埼玉在住で、家族を連れて旅行に来ているのに、昨日同行ランしてくれて、色々話をしたのだけれど、まさか来てくれるとは思わなかったので、再び元気が出た。

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13時を過ぎる頃から暑さにやられ、僕が徐々に遅れ始めた。
何とかついて行こうとするが、頭がボーッとしてフラフラし、身体が思うように動かない。
太陽が真上なので日陰もなく、無理矢理身体を動かして道の駅に辿り着いた。
ここで少し長めの休憩を取り、少ない日陰を見つけて少し身体を冷やしたが、完全には回復しなかった。
残り10kmが絶望的なほど長く感じられた。

しかし道の駅の休憩がいくらかは効いたようで、また再び走れるようになった。
これなら何とか15時前後で日田市のゴールに着けると思いながら走っていると、ミタニンがちょっと止まってください!と言う。
どうしたのかな?と思ったら、泌尿器科の看板を見つけたので、そこへ電話してみるとのこと。
その場で電話し、時間外の診療をしてもらえるか確認すると、可能とのことだった。
では先を急ごうということで走り始めたのだが、残り3kmで再び僕が走れなくなった。
暑さにやられ、倒れる寸前まで追い込まれたが、ちょうどコンビニがあって、氷を補給できたので助かった。
少し長めの休憩にしてもらい、ドリンクを氷でギンギンに冷し、それを大量に飲んで身体の内側から冷やす。
さらに帽子の中に氷を入れて被り、頭も冷やす。
これでやっと立ち上がることができ、さらに1kmほど歩かせてもらって、やっと走れるようになった。
日田市には何とか予定通り15時にゴール。
60kmを10時間で走り切った。
タフな山中のコースで、気温が31℃まで上がり、補給が難しい中で、走り切ることができたのは自信に繋がったが、僕が誰よりも暑さに弱いことが露呈した日でもあった。
自ら弱いことは自認していたが、ここまで弱いとは思っていなかったのだ。

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サワちゃんは当初の予定通り、ここで離脱。
ミタニンは道中、同い年のイトウさんと意気投合していたので、イトウさんが車で病院まで送迎してくれることになった。
狭いユニットバスで身体を洗い、水シャワーで脚を冷やしてアイシングし、1時間ほど部屋で横になり、ミタニンの帰りを待って洗濯した。

ミタニンは尿にタンパク質が出ていたので、腎不全を疑われたらしいが、エコーをとったら大丈夫だったとのこと。
腎臓そのものはキレイだが、膀胱と前立腺に炎症が出ており、抗生物質を出してもらっていた。
先生に引き続き走ってもいいかと確認したら、大丈夫と言われたようで、我々も安心した。

前立腺の検査をする際、触診を受けたようだが、先生が「どうですか?」と聴いたのに対し、彼は「初めてなのでよく判りません…でも…先生がイケメンでよかったです!」と答えたらしい。
ここで看護婦さん爆笑。
ミタニンは「しかしですよ、格闘家の魔裟斗をマイルドにしたようなイケメンだったんですよ!」と主張していたが(なぜそれが重要なのだ?)新しい世界に目覚めたのかどうかは教えてくれなかった。

この日の晩ご飯は「一番どり」という地元の老舗鶏料理店。
フェラーリエイドのコデラさんも泊まることになったので、ご一緒した。
最初は空いていて、2階の座敷で飲み食いしていたが、どんどん客が増えて、最後は1階も2階も満席になった。
料理もどんどん売り切れていったが、最初にガツンと頼んでいたので助かった。
鶏の刺身が旨かったのと、鶏釜飯が薄味ながら味のバランスがとても良かった。
追加で食べたかったが、売り切れとのことだったので、鶏のすき焼きのような料理を頼み、そこへ玉子を加えて、それをご飯にぶっかけて食べた。
これが思った以上に旨くて、追加でもらって男4人、ご飯とともにガシガシ食べた。

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