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2008/06/17(火)
「玄啓」と「玄瑛」
日曜日から続いている腹下しは現在も続いていて、徐々に何かを食べると吐気を催すようになった。

今日は朝を抜いたし、昨晩も少ししか食べていないので、さすがに昼は血糖値が下がってふらふらして来たため、普通に定食を食べた。
しかし、隣で食べているおっさんが、ちゃぷちゃぷちゅぷちゅぷ、気持ちの悪い音を立てながら食べるので、途中からは吐気との戦いだった。
何であんな気持ち悪い音を立てながら食べるんだろう。
口を閉じて食べるのは、人前で食べる、最低レベルのマナーじゃないのか。
と、愚痴を前振りにして、九州の報告その1から。

しばらく九州のあちこちを回る出張をしていたので(物凄く疲れた)、その間に食べたものを記録しておく。
とはいえ、かなりタフな出張だったので、あまり食べ歩きはできていない。
雨は降るし、移動は長いし、開放されるのが19時〜21時と遅めだし。

最初は熊本の「玄啓」。
劇場型として有名な福岡の「玄瑛」の支店で、僕は福岡の店よりもこちらへ先に訪れた。
というか、夜が遅く、雨も降っていて、超らーめんナビで調べたら、その時間にまだ開いていて、興味を惹かれたのはここしかなかったというのが本当だ。

店に着くとラーメン店とは思えない店構え。
へー、と思いつつ、店内に入ったが、先客はお喋りばかりしてラーメンを食べないカップルが一組。
この店は劇場型と言われているとおり、厨房に向かって階段状に席が用意されているのだが、僕が案内された席はいわゆるS席。
厨房に最も近い齧り付きの場所だった。

メニューは多彩だが、初訪なので基本の玄啓流拉麺を頼んだ。
たまたま店長らしき男性が注文を取りに来てくれたので、福岡には行ったことがないんだけど、ラーメンは違うの?と訊いてみた。
すると「基本は同じですが、水が違うので、水に合わせてカスタマイズしています。熊本の水はいいですよ」とのことだった。
また、熊本ラーメンになるの?と訊くと「オーナーが熊本出身ですから、福岡で出しているのも熊本ラーメンの要素が入っています」との答え。
たぶん、多くの人が同じ質問をしたんだろうな、とてもスムーズな答えだった。

さて、運ばれてきたラーメンは、表面にごってりと油が膜を張っている。
スープの油だけではなく、追加でマー油も入っており、正直、キツイなぁと感じた。
ところが、スープ本体はそれほど濁っておらず、半濁程度。
表面の油は多いけれど、スープに溶け込んだ油は思ったより多くないことが判った。
そのスープだが、一口飲んで、うわ、旨めぇとつぶやくほど。
熟したような豚骨の風味と、豚頭のライトな旨さが同居していて、それをマー油が抑え込む。
一般的な豚骨ラーメンとは全く組立てが異なる、かなり練り込まれた戦略的な一杯だった。

元ダレを丼に加えた後、熱した香味油を注ぐのだが、醤油の焦げた香ばしさが風味に厚みを与えていると思う。
この技法は初めて見たし、どうしても油が多くなってしまうが、工夫としては素晴らしいと感じた。

麺は細くて加水が多そう。
ストレートというよりも、ほんの少しだけ縮れたような面白い麺だった。
具はチャーシュウ、キクラゲ、白髪ネギ、糸唐辛子。
スープは底に暗褐色のざらりとした髄が残るので、?と思い、帰り際に訊ねると、呼び戻しの技法を使っているとのこと。
なるほどね、豚頭だけでは軽くなり過ぎるのを、呼び戻しで補い、その癖をマー油で抑えているのだ。
「一風堂」を進化させた味だとも言えよう(ただし「一風堂」は最近、味をリニューアルしており、僕はリニューアル後は未訪なので、リニューアル前と比べて、という意味)。

実は結構腹一杯だったのだが、あまりに旨かったので、ついもう一杯頼んでしまった。
羅臼昆布と焼きあごでダシをとったという、潮香醤油拉麺だ。

こちらは先の麺を徹底的に手揉みしたような麺が使われており、かなりの細さなのにチリチリに縮れている。
スープは濃い魚介系の旨味を湛えた琥珀色のもので、こちらにもごってり油が浮いている。
正直、油が重かったが、揚げネギやフライドオニオン、白髪ネギや貝割れ大根で中和しつつ食べた。
二杯目ということもあり、チャーシュウは旨かったけれど余計かな。
こちらには海苔が入っているのも違いだった。

どっちが旨かったかと言われても悩むくらい両方旨かった。
何よりも味わいのきめ細かさがいい。
水がいいと言われた理由が判るような、クリアなベースが特徴で、それを活かして上手に構築されているラーメンだった。

さて、その一週間後、今度は福岡の「玄瑛」を訪れた。
こちらも21時過ぎの訪問だったのですんなりと着席できた。
帰り際には酔客らしき団体が並んでいたけれど。

偶然にも「玄瑛」も「玄啓」と同じS席だった。
注文はもちろん、玄瑛流拉麺。
運ばれて来て、最初に気付いたのは、糸唐辛子がなくて、海苔が入っているということ。
また、白髪ネギの切り幅がやや太め。
逆を言えば、それ以外は全くと言っていいくらい同じだ。

やはりごってりと膜を張った油の下のスープを飲んでみると、あれれ?思ったより緻密さがない。
旨いんだけど、熊本のクリアな感じがないし、奥行きが浅い印象。
ファーストアタックが熊本に比べるとべったり重く、ニュアンスが雑なのだ。

麺を引っこ抜くと、うぉ、明らかに熊本よりも太く、加水も少なそう。
ごわっとした麺は福岡っぽいが、一般的な豚骨ラーメンよりも太めと感じた。
旨いには旨いけれど、麺も僕は熊本のほうが好きだな。
いや、このスープに合わせた麺と思うので、ラーメン全体として僕は熊本のほうが気に入ったということだろう。

一般的なラーメンの基準からすれば、どちらも非常に高いクオリティであり、未食の人には強く勧めるが「玄啓」の後では「玄瑛」が霞んだというのが正直なところ。
食べ終わって、しばし福岡限定の「双頭蝦楼」をお願いしようかと思ったが、止めてしまった。

もっとも、熊本で2杯もラーメンを食べ、ホテルに帰って苦しかったという教訓を活かしたというのもあるが。
何はともあれ、この両店を短い期間に食べ歩けたというのは収穫だったと思う。

#文中にあるとおり、糸唐辛子がのっているほうが「玄啓」で、海苔がのっているほうが「玄瑛」


2008/06/16(月)
LAMY "noto" SPECIAL EDITION
どうも体調が悪いなぁと思っていた。
金曜日も土曜日も、シャワーではなく、風呂に浸かって半身浴を試したりしていた。
すると、土曜日の夜、というか日曜日の朝方から激しくお腹を下した。

その後も断続的にトイレに駆け込むのだが、逆に何だか体調が戻ったような気がする。
どういう仕組みか判らないが、少しでも体調が戻るならありがたい話だ。
日曜日も夕方から部屋や自転車の掃除をやりたかったが、妙に眠くて22時まで寝てしまった。
まぁいいや、こういう週末があってもいい。

頭の中では、梅干しを漬けたいなと思っていたり、先日、宮崎で冷汁を食べられなかったので、自分で冷汁を作ってみようと思ったり、やりたいことはたくさんあるのだが、なかなか実行できない。
身体がついて来ない。

あ、九州には2週続けて行っていたので、色々と食べた料理の報告は別途行う予定。
ぼちぼち書くので、ぼちぼち読んでくだされ。
これから九州へ行く人の参考になれば幸いだ。

また、土曜日に頼んだLAMYのボールペンが日曜日の夜に届いた。
深澤直人さんがデザインしたnotoという新作である。
http://www.lamy.com/produkte/neuheiten/index_ger.html

僕は以前からLAMY 2000やLAMY swiftがほしいなぁと思っていて、実物を手に取ったりしていたのだが、高価なので買えないでいた。
#僕はここ数年、ずっと金欠なのだ。

しかし、新作のnotoはとてもリーズナブル。
書き味は所詮、リフィルに左右されるので、問題は重量やバランス、それと手に持ったときの触感になるが、深澤直人さんのデザインであれば問題ないだろうと見込んで購入したのだ。

色はブラックのみ、限定3,000本のサイン入りファーストロットだ。
シルバーとブラックのツートンがLAMYらしいような気もするし、スカイブルーにも惹かれたが、限定にはもっと弱い(笑)。

書き味もM66ほどではないがスムーズだし、裏写りがないので、手帳にちょうど良い。
手触りや重量バランスは思ったとおり問題なし。
お気に入りのアイテムが手元にあると、それだけで少し気分が安らかになる。

さて、もう日付は月曜日になっているし、また眠くなってきたので、そろそろ寝ることにしよう。


2008/06/14(土)
失敗料理
昨日作った料理は大失敗だった。

基本的には鰹のタタキで、これまでに何度となく作っているサラダ仕立て。

以前、何かの本で、鰹のタタキは比較的しっかり目に熱を加えるのが本式だと読んだことがあった。
その時は、ふーんと読み流したのだが、今回、切り分ける前に、皮の部分が冷たくて生臭くなっていたので、そうだ、皮の部分だけを温め直したらどうだろう?と閃いた。

炙ってすぐに食べるならまだしも、ラップをかけて店に並んでいる間に、皮ぎしの脂は再び凝固しているため、炙れば旨くなるだろうと思ったのだ。

テフロンのフライパンで皮目をじりじり焼くと、油がジブジブ浮いてくる。
さてそろそろいいかな?と思いながら、上記の記述を思い出したのだ。

そこで、このままもう少し焼いてみることとし、ややしっかり目に熱を加えてサラダ仕立てにしてみた。

ちなみに、野菜はセロリが必須。
セロリと鰹は非常に好相性なのだ。
他は自らのセンスで自由に加えれば良いが、僕は今回、茗荷と貝割れ大根を加えた。

味付けはシンプルに酢醤油。
酢と醤油を半々くらいにして、上からぶっかける。
僕はリンゴ酢に少し黒酢を加えて使った。

なお、酢醤油は食べる直前にかけること。
浸透圧の関係で、野菜がしなしなになってしまうからだ。

で、何が失敗って、鰹のタタキに熱を加えたことだ。
皮目を焼くのは我ながら良いアイデアと思う。
しかし、鰹のタタキに熱を加えたらダメだね。
タタキの食感がモニョモニョ、ボソボソして歯切れが悪く、味わいが著しく低下する。
なまり節くらい水分を抜けば旨いのだが、タタキの場合は水分が多いのでやはり表面から1〜2mmが良いと感じた。

こういうこともある、というか、しばしば失敗するのだけれど、それはそれで勉強になる。
今後、しっかり熱を加えているのに旨い鰹のタタキに出会えば、どこが違うのか?と衝撃を受けるだろうし、逆に僕が作ったのと同じようなタタキが出てきたら、そうそう、こういう風に作っちゃダメなんだよねと再確認できる。

どこかの本に載っていた本式のやり方(高知市の飲食店ガイドを読んでもそんなやり方は書いてないのだが)を鵜呑みにするのではなく、試してみることが重要なのだろう。


2008/06/14(土)
「山岸大勝軒」の物産展出展
広島三越の物産展に「山岸大勝軒」が出展していると知り訪れた。

食べた感想は、山岸さんが腕を振るっていた時代の東池袋「大勝軒」を知らない僕が感じたコトという前提になるけれど、一口食べて「え?これって大勝軒インスパイアの間違いでは?」と思ってしまった。
僕の大勝軒系の体験は、池袋の「麺屋ごとう」と、北習志野の「北習大勝軒」。
それと福山市の「ひろしま大勝軒」の3軒のみだが、それにしても違う。

上記の3店は、全て東池袋の「大勝軒」で修業されているので、味わいの差があれど、確かに共通した部分があった。
しかし、この物産展に出てきている店は、何が違うって麺が全く違う。
なんだよこれ?と思うくらいで、まず大勝軒にしてはやや細く感じる。
そして何より、あなりかん水臭い。
大勝軒系の麺は、呉の細うどんにもっちりしたコシを加えたような、あまり中華麺っぽくないものというのが僕のイメージなので、激しく違和感があった。
ふと、床に転がっていた麺箱(ダンボール)を見ると、広島市の磯野製麺と書いてある。
磯野製麺はお好み焼きの麺としてはとても好きな製麺所で、そういえばこの風味は磯野製麺のものと非常に似ていることに思い当たる。

確認した訳ではないので、真実、磯野製麺の麺を使っていたのかどうか確信はできないが、麺に違和感があったことだけは確か。
僕はたまたま辛もりそばにしたので、スープに浸すと麺の風味はややマスキングされたが、これを普通のもりそばで食べたらもっと違和感は強いはずと感じた。
何より大勝軒系のもりそばは、麺を主体に味わうものだから、麺がこれだけ違うと、もはや別の料理と感じる。
例えるなら、親子丼を頼んだら、ご飯が長粒種の炒飯だった、というのに近い。
長粒種のご飯を使った炒飯は確かに旨いが、それを親子丼に使うべきではないということだ。

さらに、辛もりそばは辛味噌が添えられるはずなのに(このメニューは2代目の飯野さんの代になって作られた)、最初からスープに加えてある。
あつもりやデラックスも提供していないし、物産展ならではの省略だなぁという印象を受けた。
チャーシュウは筋張っている部分もあったが、大勝軒系のチャーシュウではしばしばあることだし、そこそこ旨かった。
つけ汁は結構雰囲気が出ていたように思う。

とりあえず麺を完食。
麺の量は300gもあったかな?
250g前後のような気がしたけれど、麺が太めで表面が滑らかだと多く感じさせないから、僕の錯誤かもしれない。

当然、つけ汁が残るのでスープ割ができますか?と女性スタッフに訊いてみると「え?スープ?」と言われた。
無理なんだと諦めかけた時、料理を運んでいた職人っぽい若い男性が「スープ割ですね!できますよ!」と快活に応えてくれ、僕の丼をすぐに下げてくれた。
お陰でスープ割にありつくことができたのだが、これがしみじみ旨かった。
これを飲んで初めて「そうそう!これが大勝軒だよ」と膝を打った。
丸いダシの味がふんわり優しく立ち上がってきて、元ダレなど調味料の味よりもダシが効いている感覚。

これが食べたかったんだよと最後に満足したが、周りにはスープ割を頼んでいる人は一人もおらず。
もったいないなぁ。
この味がたぶん、本来の「大勝軒」の味を最も喚起するものなのに。
#スープ割は右の写真。ただしスープ割を頼んだら残さないこと。
#元来、スープ割というのは店の好意なので、頼んで残すのは、ご飯のおかわりを残すのと同じくらいの非礼なのだ。

個人的には、広島の人たちにこれが「大勝軒」と思われたら残念と思ったので記録しておく。
自家製麺って公式サイトにもあるとおり「大勝軒」の特徴と思うのだが「南池袋大勝軒(以前の店舗と区別するためにこう呼ばれることが多い)」って、こういう麺で提供しているのだろうか。
http://www.tai-sho-ken.com/concept.htm

そうであるならば、非常に残念と言うしかない。


2008/06/08(日)
鹿児島のCAINOYA
出張が続いており、先週は鹿児島まで行った。

あまり時間がなかったし、仕事の終りが遅くて、それほど食べ歩きはできなかったけれど、僅かな時間を活用して食べ歩いた。
その中で最も印象的だったのが、鹿児島市の「CAINOYA」だ。

この日は一人で19時から予約をして訪れた。
店に入ると厨房に面してカウンターが用意されており、一人客でも居心地が良い。
厨房は見事に磨き込まれており、これは旨い料理が食べられそうだという予感が確信に変わる。
新しくて綺麗なのではなく、磨かれて美しい厨房からは、必ず旨い料理が運ばれてくる。
これは僕の経験則だ。

シェフは一見して頑固そうだが、そういう人が旨い料理を作ることを僕は知っている。
方向性と焦点が定まった料理を作るためには信念が必要だし、信念がある人はどうしても頑固っぽくなってしまうのだ。

メニューを見ると、目くるめく内容で、あらかじめ5,500円のコース(税サ別)を頼もうと思っていたが、じっくりと読み込めば読み込むほど、7,500円のほうがお得であることが判った。
これだけのメニューを見せられたら、これはもう、7,500円のコースしかあるまいと思い、最近、辛いことが続いていたのもあり、奮発しても楽しむことに決めた。

料理はかなりの高水準。
素材の持ち味を素直に出したいという気持ちと、それをどう料理として昇華させるのかを悩みつつ拮抗させたような料理群。
鹿児島市(人口60万人)という、広島市(116万人)の半分ほどの地方都市で、これだけの素材を扱い、高い意識を持って取り組んでいることは、偉業と言ってもいい。
ちなみに、同じレベルの素材を取り扱っているイタリアンレストランは、僕の知る限りだけど、広島県内にはない。

ただ、これはシェフにも伝えたのだが、まだ彼の本当に作りたい料理には至っていないように感じた。
彼自身、やりたいことがたくさんあって、素晴らしい素材を活かしたくて、切なくて、もどかしくて、自分自身に苛立ちつつ、のたうち回りながら前に進んでいる印象を受けた。
こういう店は、何かの拍子に一気に伸びる。
「呉下の阿蒙に非ず」だ。

もちろん、現在の料理も素晴らしくて、特に前菜の稚鮎のリゾットや純血バスク豚の自家製サルシッチャには痺れた。
細かく書くと長大になるので避けるが、判る人なら感動すること間違いなし。

パスタは全て手打ちで、もちろん旨かったのだが、ハーフを2種類食べるよりもフルサイズを1種類食べたほうが良かったかな?と思った。
シェフの作るパスタは丁寧だけどスタンダードなものが多いので、フルサイズで食べてこそ、起伏や余韻が楽しめるように思うのだ。
次回はフルサイズを2種類食べたいと思った。

メインはオテイゼさんという生産者が育てた、100%純血バスク豚皮付きバラ肉のクロッカンテ。
皮はパリパリ、脂身はとろとろにジューシーで、脂身の苦手な僕には重い一皿だったが、実は今になって最も印象に残っているのはメインのこの皿なのだ。

皮のパリパリ感、脂の軽さとぷちぷち弾けるような食感。
甘くて軽い独特の旨さ。
あぁ、これが純血のバスク豚なのかと、僕の豚肉史に残る旨さだった。

そして、これらの料理を食べている途中、その日は客が少なかったこともあり、途中からシェフとお喋りしながら料理をいただいた。

ワインも彼のお勧めで、大胆かつ繊細な彼の料理に合うモンテプルチアーノを出してもらった。
食後にはANGIALISというコク深く濃密なデザートワインを、そしてCARACCIという素晴らしいフレーバーのグラッパもいただいた。

結果、正直に吐露するのだが、僕はこの店に5時間30分も滞在してしまった。
他の客が帰ってからは、シェフと2人で話し込んでいたというのもあるけれど、レストランにおける最長不倒記録である。

そして、つくづく僕らしいなと思うのだが、この日を境に、かなり元気が回復した。
まだ少しダークサイドに引き摺られそうになるけれど、この日、この店で過ごしている間は、100%元気を回復していた。

レストランの語源は、ラテン語で「良好な状態にする」という意味だという。
僕は久々に本物のレストランへ訪れたのだが、僕の心の回復には、レストランが最高の薬なのかもしれない。

シェフにまた来てくださいと言っていただき、僕もいつになるか判らないけれど、また来ますと言って店を出た。
今日になってシェフのブログを見ると、たくさん話をしたそのエッセンスが、彼の中でいくらかの化学変化を呼び起こしたようだ。
http://blog.livedoor.jp/cainoya1931/archives/2008-06.html
#6月5日の記事

僕の言葉が、シェフの中で少しでも役に立ち、今後の店の運営にプラスになったのであれば嬉しい。
もし、この店が広島市にあれば、僕は全力で応援するんだけどな。
おそらく、10年後には九州地方を代表する名物レストランになっていると思う。

最期に少し苦言を申し上げたいのだけれど、鹿児島の人たち。
こんな志の高い店を支えなくてどうする。
この店はあなたがたの街の財産だ。
財産ならば守るのが当然だろう。

僕は1年に1度も行けないかもしれなけれど、もしこの店を支えてくれなかったら、鹿児島の人たち、恨むからね。


2008/06/01(日)
ちょっとヤバイ
ヤバイ状況に陥りつつある。

しっかり眠ったはずなのに疲れが取れない。
変な夢ばかり見て、覚醒と混沌を行ったり来たりする。
食欲があまりなくて、少し食べたらお腹が一杯になる。
せっかく食べたものも少ししたらお腹を下したりして、全然身体に留まらない。
また、一時期直っていた背中痛がぶり返している。

これってと思い調べてみたら、鬱のようだ。
あー、確かにそうかもしれない。
最近、ストレスが強過ぎて、消化し切れていないのは感じていた。
僕は元々、ストレス耐性が高い人ではないのだ。

夕方、以前、病院でもらった胃腸の働きを活発にする薬を飲み、早い時間から風呂に入って半身浴し、風呂から出てゆっくり時間をかけて食事している。
時間をかけないと料理が胃に入って行かないのだ。

現在、最期の粥を食べているところ。
ご飯を土鍋で炊いているので、炊いたときにはお焦げが出来る。
それをダシで溶いて和風ヌルンジにして食べるのだ。
今回は焦げ付きが強くて失敗したが、食べられないほどではなく、ご飯を無駄にしたくないのでゆっくり食べている。

数日前にアナウンサーの女性が自殺されたとニュースで読み、直前までそんなそぶりはなかったと書いてあったが、そういうものだろうなと思う。
彼女がそうだったのかは、熱心にニュースを読んでいない僕には判らないが、ある種の人は、誰にも悩みを打ち明けないことを僕は知っている。
僕自身がそうだからだ。

人に話せば楽になる人が多いらしいが、僕の場合は、自分の発した言葉を後から反芻し、自分自身の汚らしさに自家中毒を起こしてしまう。
そういうことを語る自分が嫌なのだ。
だからどんなに身内でも、人に悩みを打ち明けない。
自分の中で発酵し、時間をかけて血肉となるのを待つしかないのだ。

それを耐えているとき、死は甘美な響きを持つ。
外野から何を言われようが、死後は自分に聞こえないのだから気にしなくていい。
「楽になる」という一念に囚われそうになる。

僕の場合、思い留まるのは両親のことだ。
親より先に死ぬわけにはいかないと常に思う。
最大の親不孝になる。

今晩は一年ほど前に病院で処方してもらった、別の薬を飲んで寝るつもり。
薬に頼るのは嫌いなので、あまり飲まないのだが、このままだとちょっとヤバイと思うので。

今後も具体的内容を人に話したり、サイトに書いたりはしないけれど、もしかしたらこんな一人語りが僅かながら「救い」になっているのかもしれない。
付き合わされる読者の方には申し訳ないと思うけれど、快食ログってそういう位置付けなので了解してほしい。


2008/05/31(土)
残り物料理とか
考えること、考えなければならないことがやたらと多い一週間を終え、やっと週末。
しかし、週末も仕事のことが頭から抜けないし、やらなければならないことがある。

僕は公私にメリハリを付けないと、仕事ばかりでは頭や身体が動かなくなるタイプの人間なんだけどな。
たぶん、普通の人以上に息抜きが必要なのだ。

今日は朝からあちこちへ出かけ、用事を片付けた。
その中には仕事も少々。

夕食は冷蔵庫の中身を掃除する料理と、今週、途中で疲れが溜まって身体が動かなくなったので、それを解消するために鶏レバー、鶏心臓、鶏砂肝の炒め煮を作った。

掃除料理は、キャベツの芯だけを取っておいたものと辛味大根が萎びていたのでじっくり、30分くらい炒め、ティースプーン一杯分残っていた味噌と、大匙一杯分残っていた麺ツユで味付け。
最期に萎びていた高菜を加えると、そこそこマシな野菜炒めになった。
ビールのアテに良い。

砂肝は銀皮を徹底的に取り、テフロンのフライパンで炒め、別皿に取る。
肝と心臓は、塩を加えた氷水に浸し、そこから適宜取り出して、内臓脂と筋を取り除く。
細かく刻んで、肝の中の血液を洗い流す。

やはり油を引かずに肝を加え、適度炒めたら砂糖を加えてぐるぐる混ぜる。
その後、水分が出てくるが、肝臭かったので、僕はキッチンペーパーで吸い取って捨てた。

先に炒めた砂肝を加え、最期に醤油を回しかけ、強火にして調味料を絡めて出来上がり。
結構、念入りに下拵えしたつもりなのに、まだ少し生臭味が残る。
不本意だけど、生姜とかを加えたほうが良かったのかな。
旨い鶏レバーってときどき食べるが、自分で作ろうという気が起きないんだよね。


2008/05/25(日)
巻き寿司はなのチキンかつサンド
朝も昼も軽めにしか食べていなかったので、夕方から猛烈に腹が減ってきた。
朝から雑事をこなしていたので、夕食は少しガッツリ食べようと思い、巻き寿司の「はな」へ電話し、チキンかつサンドを作ってもらった。

受け取りに行くと、驚くくらい重い包みを渡される。
凄いボリュームだねと言うと、大したことないわよ!と笑われた。
うーむ、そうなのか?

帰宅して包みを開けて驚愕。
なんじゃこりゃ?
コンビニのサンドイッチの4人分は優にある、巨デカなサンドイッチが現われた。

パンは山型パンだが、六枚切りくらいのが丸々2枚使われている。
さらに、そのパンからはみ出るほどのチキンかつ。
厚みも凄くて、とてもじゃないけれど、口の小さい僕は齧り付くことができないレベル。

しばし、どうやって食べるべきか考えたが、仕方がないので包丁で小さく切って食べることにした。
形は崩れるが、なに、どうやって食べても形が崩れるタイプのサンドイッチなのだ。

ビールを片手に、芥子を溶いて適宜添えつつ、端から攻略する。
どこかから「カーン!」というゴングの音が聞こえたような気がした。
味は思ったよりさっぱり系。
この店ならではのタルタルソースが使われている。
野菜もレタス、トマト、胡瓜などたっぷりだが、それ以上にチキンかつがたっぷり。
半分くらいでちょうど良かったが、チキンかつは衣がふやけてブヨブヨになるし、野菜も萎びてくる。
明日の朝食べるというわけにもいくまいと、1時間くらいかけて完食した。

やった!僕の勝利だ!
と、思ったが、苦しくて苦しくて、結局、食後3時間も横になる羽目になった。
勝ったつもりだったが、胃の容量オーバーによるテクニカルノックアウトで既に負けていたのだった。

それにしても凄いな。
600円でこれだけ楽しめるサンドイッチは他にないと思う。
ロイヤルゴットバーガー2つ分くらいのボリュームがあるのではないか。
できれば完成を待ってすぐに持って帰り、パン粉のカリカリ感が残っているうちに、マスタードか芥子を添えて、モリモリ食べることを勧める。
時間が経つと、パン粉がふにゃふにゃして、鶏肉のぐにゅっとした食感が出てくるので、食味が一気に低下する。

しかし、店で食べるのはお勧めしないな。
とにかく食べにくいので、自宅で少し行儀悪くじゃないと食べられないと思うのだ。


2008/05/24(土)
The Eccentric Opera
これを読んで、あ、同感!という人がいたら、メールくだされ。
僕の周りにはそういう人が一人もいないので、寂しいんだよね。

それくらい、好きだという人が少ないユニットと思う。
現在は活動していないので、余計にそうなのかもしれない。

元々僕は、日本や世界の音楽事情に疎くて、自分が良いと思ったものを訥々と聞いているような人だから、音楽的お洒落とかクールには全く縁がない。
もしかしたら、最新の人たちには「The Eccentric Operaだって?ダッサー!」と言われるのかもしれない。

うまく説明できないけれど、単にオペラをテクノ風に味付けしたのとは違う、心を打つ何かがあると思う。
音楽に疎い僕にはできないが、上手に書いている人がいるので紹介する。
http://wagamamakorin.client.jp/eccentricopera.html

こんな音楽が好きだなんてダサイと言われ、好きなのに聞けない日々が長く続いていたが、最近になってやっと好きなだけ聴くことができるようになった。
うん、やはり、僕は好きだな。
たとえ、格好悪くても、音楽的にセンスが悪いと言われても、好きなものは好きなのだ。

僕は音楽的センスが悪いことを自覚しているけれど、自分の好きな曲は、素直に好きだと言いたいし、聴きたい。
ジャズかピアノか知らないけれど、もっとクールでカッコイイのが好きな人は、僕とは根源的なところで合わないのだろう。

僕はさだまさしやオフコースも好きだ。
最近はほとんど聞かないが、嫌いになった訳ではない。
音楽を聴くこと自体が億劫になっていたし、タイミングを逸していただけだ。
これからは自分の好きな音楽に彩られながら生活したいと思う。
加齢とともに、クラシックを聴くことが増えているのだが、余計に「The Eccentric Opera」の凄さが感じられるのだ。


2008/05/21(水)
豚背ロースのステーキ
週末に食べた料理だけど、追っかけで。

最近は肉も魚もあまり食べない生活が続いているが、一時期、ずっと食べなかったら、ものすごく疲れがキツイことに気付いた。
何でこんなに疲れるんだろう?と思い、肉を食べたら一気に回復した。
あぁ、なるほど、人の身体には動物性蛋白質が必要なんだなんと痛感した。

魚で摂取するのが一番なんだけど、魚は保存できないから、肉で摂取することにしている。
とはいえ、豚肉ばかりなんだけどね。

食べるのも背ロースが中心。
この日に食べたのも背ロースだ。

最初に脂身と筋の部分を全て切り落とし、それらを細かく刻む。
そして、テフロンのフライパンに入れ、じっくり熱を入れる。
すると、ラードが涌出して、カリカリになった脂カスと呼ばれるものが残る。
それが最初の写真だ。
肉はその間、ずっと冷蔵庫に入れず、常温に戻しておく。
ステーキを焼くときに最も重要な点は、この常温に戻すことだ。
厚みのある肉ならかなり時間を要する。

豚肉の表面には軽く小麦粉を塗す。
豚肉は牛肉と違い、直接、熱い油に触れると火傷して表面が硬くなるような気がするんだよね。
僕だけの感覚かもしれないけれど。

焼き油は先に脂身から溶け出したラードを使う。
変な化学合成された油よりずっと身体に良いと僕は思う。
明確な根拠はないけれど、僕の身体が「ラードのほうがいいよ」と言っているのだ。
それが味覚の本来の機能なので、僕はそれを信じることにしている。

そして弱火から中火でじっくり焼いたのが2枚目の写真。
一切れだけ取り出して、参考までに断面を見せているが、真っ白になるまで焼くのではなく、全体がピンク色になるように焼くのがポイント。
味付けは塩と胡椒のみ。
マスタードを添えても旨いと思う。
脂身が皆無なステーキだけど、結構旨いんだよ、これ。

ちなみに脂カスは冷蔵庫で保管し、別の料理に使う。
こうすると無駄がない。
脂カスは脂カスで面白い料理に使えるんだよ。
麺類に加えてもいいし、もちろん、焼飯や野菜炒めに使ってもいい。
少しだけ手間だけど、試してみることを勧めるな。


 OR AND
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